「60歳になったら定年で仕事は終わり」
そんなイメージは、もはや過去の話なのかもしれません。ですが、現実はそう単純ではありませんでした。60歳を迎えた私が直面したのは、「人生100年時代」という言葉の一方で、まだまだ整いきっていない制度と、誤解されたままの情報、そして何よりも“働く意味”をどう再定義するかという自分自身との対話でした。
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誰もが「定年=65歳延長」ではない現実
2025年を迎えて、まるで“定年が一律で65歳に引き上げられた”というような印象を持った人も多いのではないでしょうか。ニュースなどでよく聞かれる「65歳までの雇用確保義務化」という表現は、非常に紛らわしいものです。
実際には、企業が60歳以降の就業機会を確保する方法としては、大きく分けて以下の3パターンがあります。
- 定年延長(定年自体を65歳に引き上げる)
- 定年廃止(年齢に関係なく働ける仕組み)
- 再雇用制度(60歳で一度定年退職し、その後契約社員等で再雇用)
私が属していた会社では、数年前から「65歳までの再雇用制度」が導入されており、すでにその枠組みで多くの先輩方が働いている姿を見てきました。つまり、制度的には新しくもなければ、特別な配慮があったわけでもなく、淡々と“65歳までは働ける枠”があるということにすぎません。
半年前「定年後の相談」が来ない理由
そして、もうひとつ驚いたことがあります。それは、去年の年末ごろ私は定年半年前を迎えました。60歳の節目が近づいても、会社から何の通知も来なかったということです。
「再雇用される人には、事前に会社から連絡があるのだろう」と思い込んでいた私は、ずっとその通知を待っていました。ところが、ある日ふと就業規則を読み返してみると、こんな文言が書かれていたのです。
「雇用延長を希望する者は、退職の2ヶ月前までに会社に意思表示を行うこと」
つまり、自ら申し出をしない限り、再雇用の道は開かれないのです。知らなければ、そのまま退職日を迎えてしまうところでした。そして実際に、制度を知らずに「何の連絡もなかったから」という理由で、退職前から自分で仕事を探した方も中にはいらっしゃったみたいです。
この事実を知らず誤解してしまうと、人生設計の大きな誤算になりかねません。定年のリアルとは、こういうところにこそ潜んでいるのです。
60歳という“通過点”に近づいてきて見えてきたもの
かつてのように「60歳=完全引退」といった価値観は、今の社会には合わなくなってきています。一方で、年金の支給開始年齢は65歳以降へとずれ込み、医療の進歩や生活水準の向上により、60歳は“高齢者”ではなく、むしろ“まだまだ元気で動ける世代”として社会に位置付けられるようになってきました。
そうなると、60歳以降も働くことは自然な流れかもしれません。ただし、それはあくまで「働ける環境が整っていれば」の話です。本人の意思だけではどうにもならない壁もありますし、制度を知らないことで不利な状況に陥ることもあります。
私自身、定年を迎える前の数ヶ月は、自分の今後をどうしたらいいのか分からず、不安な日々を過ごしました。しかし、就業規則の中身を知り、自分の希望を会社に伝えることで、会社も親身になって寄り添ってくれていくつかの提案を出してくれるようになりました。
「働き方」は自分で選ぶ時代へ
60歳を過ぎたら“どう働くか”を会社任せにするのではなく、自分で制度を理解し、意思を持って選ぶことがこれからは何よりも大切です。そして、制度だけでなく、“自分の働く意味”についても問い直さなければいけません。
- 収入を得るため?
- 人とのつながりを持ち続けるため?
- 社会との関係性を保つため?
- やりがいを見つけるため?
それぞれの理由に、正解も間違いもありません。大切なのは、これからの人生の過ごし方を「自分の言葉で語れるようになること」だと、私は思います。
趣味の動画配信との両立
この点は会社には相談しませんでしたが、1年前の59歳になった前後で動画配信を始めました。完全な独学で始めましたがそれが最近の楽しみなので、この時間が欲しいとは思っています。
次回予告:私が選んだ「竹コース」とは?
次回は、定年後における“待遇”について、私が実際に提示された3つの選択肢(松・竹・梅)と、それぞれの金額、役割、勤務形態の違いについて詳しくお話しします。単なる給与の問題だけではなく、働く場所や責任の重さ、生活のバランスなど、意外と見落としがちな「再定年後の現実」に触れていきたいと思います。
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